当会では、五霊太極拳(陳烈泊伝古典式太極拳/陳式太極拳小架系拳法)を中心に、黄氏心意拳、九天龍行剣、及び呂式八段功などの各種健身気功を御指導致しております。
また、五霊太極拳と黄氏心意拳を総しまして、心意五霊太極拳法と称しております。
門是
- 理気一元
- 知行合一
- 致良知
- 四箇格言
四言教
- 無善無悪是心之體。
(善無く悪無きは、これ心の体) - 有善有悪是意之動。
(善有りて悪有るは、これ意の動) - 知善知悪是良知。
(善を知り悪を知るは、これ良知) - 爲善去悪是格物。
(善を為し悪を去るは、これ格物)
学拳須知 ※( )内は大意
- 學太極拳不可不敬。 不敬則外慢師友内慢身體。心不斂束如何能學藝。
(「不敬」であってはならない。自他に対して驕慢な者は何も得られない) - 學太極拳不可狂。 狂則生亊不但手、不可狂即言亦不可狂。外面形跡必帯儒雅風気。
不然狂於外必失於中。 (「狂(気)」であってはならない。言葉と姿に品格を持つようにしなさい) - 學太極拳不可満。 満則招損。俗語云天外還有天、能謙則虚心受教、人誰不楽告之以善哉。
積衆善以為善善斯大矣 (慢心してはいけない。謙虚に教えを受けなければ真実は得られない) - 學太極拳着着當細心揣摩一着。 不揣摩則此勢機致情理終於茫眛、即承上起下處尤當留心 。
此處不留心、則來脈不真轉關亦不靈動。
一着自為一着。不能自始至終一氣貫通矣。不能一氣貫通、則於太和元氣終難問津。
(細心を以て一つ一つの技法を錬磨せよ。一着は万法に通じている) - 學太極拳先學讀書。 書理明白學拳自然容易。 (読書して広く勉強しなさい)
- 學太極拳學陰陽開合而已。 吾身中自有本然之陰陽開合、非教者所能加損也。復其本然教者即止。
[教者教以規矩、即大中至正之理] (自分の「陰陽の開合(心身の仕組とその理論)」について学びなさい。) - ※一項削除。
- 學太極拳不可借以為盗竊槍奪之資、奸情採花之用。 如借以槍奪採花、是天奪之魄鬼神弗佑而况人乎。
天下孰能容之。 (盗みや悪だくみをしそうな悪い人には教えない。悪いことに用いてはならない) - 學太極拳不可凌寓欺壓人。 凌寓欺壓即犯衆悪罪之魁也。
(嘘をついたり人を騙してはいけない)
五霊太極拳の風格・特徴
三十二句訣
理気一元 | 太極兩儀 | 動則生陽 | 静則生陰 |
一動一静 | 一開一合 | 上下相随 | 圓轉随意 |
循規蹈矩 | 立身中正 | 内以修身 | 外以制敵 |
自然合拍 | 不偏不倚 | 中氣流行 | 一氣貫通 |
以身運手 | 以手領身 | 両肩沈下 | 両肘垂下 |
平心静氣 | 氣沈丹田 | 緩急自在 | 剛柔併用 |
渾身上下 | 全神貫注 | 眼光四射 | 威風八面 |
千錘百錬 | 不可空談 | 拳打萬遍 | 神理自現 |
※門規五戒
- 不可弄拳
- 不可比拳
- 不可用拳
- 不可利拳
- 不可売拳
※誓詞五戒(伝日高睦水)
- 不言;不必要に他人に言わない。
- 不現;不必要に他人に見せない。
- 不用;用いないですむように身の処し方に気をつける。
- 不伝;安易に他人に教えない。
- 不売;生業や商売にしない。
陳家太極拳小架伝 五霊太極拳(古典式太極拳)の太極図について
太極図説
wikipediaには、中国・北宋の周敦頤(1017年- 1073年)が撰述した書物、1巻。太極図と呼ばれる陰陽を表す図を儒教の解釈によって説いたもの、とあります。
一般に太極図には以下の種類があります
- 周氏太極図
周敦頤が説いた五層の展開を示した図 (起源には論争があるようですが)。
- 陰陽魚太極図
陳家の老架系を含めた他派の太極拳で広く用いられています。
一般にも広く浸透していて、韓国の国旗にもこれの発展型が採用されています。 - 来氏太極図
明の来知徳(1525年-1604年)が作った太極図で円図とも呼ばれます。
当門太極拳図
朱子学が宇宙の理論説明に陰陽魚太極図を用いたことに反発して、当門の理論背景になっている陽明学では この来氏太極図を重要視して理論構築がなされています(詳細は陳鑫師の伝書に詳細に明記されております)。
当門及び陳家太極拳の小架の系譜におきましては、この来氏太極図を太極拳理論の構築の柱として採用しております(周氏太極図と陰陽魚太極図は僅かに補助的な程度)。
以下は当門口伝の太極図についての理論です。wikipediaでの来氏太極図の解説とは異なります。
当門口伝の太極図理論
- 外の大圏(大円)は全宇宙を表す無極であり太極です(二つの意味が重なっています)。
- 中心部の小圏(小円)は人間を表す少極と呼びます。
- 少極は太極(無極)に含まれています。人間は宇宙の一部ということです。
- 無極は陰陽混沌としたままで気に満たされていて、これを「浩然之気」と呼びます。天然自然に満ちわたる気という意味です。
- 無極に陰陽が生じて秩序を形作りつつ、少極である人間に導引され先天的に有している気と混合されて精気が練られます。これを「中気」(人間の中の気)と言います。
- 精錬された中気は少極から発散され(帰太極)、無極に生じている秩序と同化して太極の形成に寄与します。
※上記の理(理論・理屈)は気の活動によって現実として現れ、気はこれらの理に従って運行します。
この密接な関係を「理気一元」といい、現実的で具体的、積極的な行動を重視する陽明学の思想からきています。当門の門是や錬功三十二句訣の筆頭がこの語句になっている理由はここにあります。
陳鑫師の伝書には、「氣不離乎理、理不離乎氣。理與氣一而二、二而一者也」とありますが、これはまさしく「理気一元」そのものについての言及です。
※当門の戦術・戦略の骨子を導く「陰陽消息盈虚訣/四徳八法」や導引気功・内気功の理論なども、この太極図(来氏太極図)に基づいて解説されています。